ホステス報酬の源泉徴収|キャバクラの計算方法と納付期限

約10分で読めます文:株式会社KOKU

キャバクラやスナックがキャストに払うホステス報酬の源泉徴収は、(報酬の額−5,000円×計算期間の日数)×10.21% で計算します。日数は出勤した日数ではなく、報酬を計算する期間の全日数で数えるのがポイントです。

この記事で分かること:

  • 誰が源泉徴収をしなければならないか(個人で営むお店も含む)
  • 計算期間の日数の数え方と、月払い・週払い・給与と両方ある月の計算例
  • 納付の期限、年が明けてからの支払調書の提出

キャバクラ・クラブ・ラウンジ・スナック・ガールズバーなどで、キャストに「報酬」として支払っている経営者・店長に向けた記事です。内容は国税庁の公開している情報(令和8年4月1日現在の法令等)にもとづいています。個別の判断は、必ず顧問の税理士に確認してください。

キャバクラにも源泉徴収は必要?誰が対象になる?

バーなど客の接待をするお店で働くホステス等に報酬を支払う経営者は、支払いのたびに所得税と復興特別所得税を差し引いて、国に納める必要があります。これがホステス報酬の源泉徴収です。

国税庁の説明では、対象になるのは次の支払いです。

誰が 誰に 何を
バーなど客の接待をするお店の経営者 そこで働くホステス等 業務に関する報酬・料金
ホステス等を飲食の場に派遣する事業者 バンケットホステス・コンパニオン等 業務に関する報酬・料金

夜のお店の言葉に置き換えると、キャストに「給与」ではなく「報酬」として払っているお金がこれにあたります。キャストに払うお金が給与にあたる場合は、ホステス報酬ではなく給与として源泉徴収します。

キャストとの契約が雇用なのか、業務の委託なのかで、給与として扱うか報酬として扱うかが変わります。どちらにあたるかは、契約書の名前だけでは決まらず、働き方の実際の姿で見られることがあります。出勤の時間や場所をどこまで店が決めているか、道具や衣装を誰が用意しているかなど、判断の材料は1つではありません。迷う場合は、顧問の税理士や社会保険労務士に、実際の働き方を伝えて確かめてください。

大事なのは、個人で営んでいるお店も対象になる点です。国税庁は、給与を払っていない個人の事業者は原則として報酬の源泉徴収が要らないとしつつ、「ホステス等に報酬・料金等を支払う場合を除き」と例外を置いています。つまり、従業員を雇っていない小さなスナックでも、キャストに報酬を払っていれば源泉徴収が必要です。

源泉徴収の計算式は?

計算式は「(報酬の額−5,000円×計算期間の日数)×10.21%」です。差し引く金額(控除額)は、同じ人に1回に支払う金額ごとに計算し、税額の1円未満は切り捨てます。

式を分けると、次の3つの手順になります。

  1. 控除額を出す:5,000円×計算期間の日数
  2. 差し引く:報酬の額−控除額(マイナスになるときは、源泉徴収する税額はありません)
  3. 税率を掛ける:差し引いた残り×10.21%。1円未満は切り捨てる

10.21%は、所得税10%と復興特別所得税(所得税の2.1%)を合わせた率です。なお国税庁は、令和9年分以後は所得税・防衛特別所得税・復興特別所得税が源泉徴収の対象になると案内しています。翌年以降の計算は、その時点の国税庁の案内で率を確かめてください。

同じ月に、同じ人へ給与も払っている場合は、控除額からその計算期間の給与の額を差し引きます。くわしくは下の計算例で見ていきます。

「計算期間の日数」は、何で数える?

計算期間の日数は、営業日数でも出勤日数でもなく、報酬の計算の基礎になった期間の初日から末日までの全日数です。月払いなら、その月の暦の日数(3月なら31日)になります。

ここは最も間違いやすいところです。たとえば3月に20日しか出勤していないキャストでも、3月1日から31日までの報酬をまとめて払うなら、日数は31日で数えます。出勤日数の20日で数えると、控除額が小さくなり、源泉徴収する税額を多く取りすぎてしまいます。

払い方 計算期間の例 日数の数え方
月払い 3月1日〜3月31日 31日(出勤日数に関係なく暦の日数)
半月払い 4月1日〜4月15日 15日
週払い 月曜〜日曜の7日間 7日
日払いで、その日の分を精算 その日だけ 1日

日払いは注意が要ります。その日の報酬をその日に精算しているなら計算期間は1日ですが、月の報酬の一部を前渡ししている(月末にまとめて精算する)のなら、報酬の計算の基礎は月になります。どちらにあたるかは、お店とキャストの間の報酬の決め方によります。日払いのあるお店は、決め方を書面にしたうえで、顧問の税理士に計算期間を確かめてください。

計算例を見てみよう(月払い・週払い・給与と両方)

国税庁の計算例と、同じ式を使った例を並べます。金額は計算の確かめ方を見るための例です。

例 条件 控除額 計算 源泉徴収する税額
① 月払い(国税庁の例) 3月1日〜31日(31日間・営業日数25日)、報酬75万円 5,000円×31日=155,000円 (750,000−155,000)×10.21% 60,749円
② 週払い 7日間、報酬120,000円 5,000円×7日=35,000円 (120,000−35,000)×10.21%=8,678.5 8,678円
③ 給与と両方ある月 30日間、報酬400,000円、同じ月の給与30,000円 5,000円×30日−30,000円=120,000円 (400,000−120,000)×10.21%=28,588 28,588円
④ 控除額のほうが大きい 30日間、報酬120,000円 5,000円×30日=150,000円 報酬が控除額より少ない 源泉徴収する税額はありません

①は国税庁のページに載っている例そのものです。営業日数が25日でも、日数は31日で数えています。

②と①を見比べると、払い方の単位で控除額が変わるのが分かります。週払いでも月払いでも、1か月をまとめて見たときの控除額は大きく変わりませんが、払い方を途中で変えた月は、計算期間の区切りがずれないように気をつけてください。

④のように、短い時間しか入っていないキャストや、ヘルプ中心のキャストでは、控除額が報酬を上回り、税額が出ないこともあります。それでも、支払った報酬の額の記録は残しておく必要があります。年が明けてからの支払調書で、年間の合計が要るからです。

衣装代やタクシー代も、源泉徴収の対象になる?

国税庁は、報奨金、衣装代、深夜に帰宅するためのタクシー代も源泉徴収の対象に含まれるとしています。報酬とは別の名目で渡していても、報酬の額に足して計算します。

夜のお店では、報酬のほかにいろいろな名目でお金を渡すことがあります。名目ごとに整理すると、次のようになります。

名目 国税庁の説明での扱い お店で気をつけること
報奨金(売上の達成などで渡すもの) 源泉徴収の対象に含まれる 報酬と合算して計算する
衣装代 源泉徴収の対象に含まれる ドレス代の補助として渡す分も含めて記録する
深夜帰宅のタクシー代 源泉徴収の対象に含まれる 送りのタクシー代を現金で渡す場合も記録する

これらを報酬と別の封筒で渡していると、計算に入れ忘れやすくなります。渡したお金は名目にかかわらず、1人ずつ同じ一覧に記録することが、計算の漏れを防ぐいちばんの方法です。

いつまでに納める?納期の特例は使える?

源泉徴収した税金は、支払った月の翌月10日までに納めます。給与の源泉徴収で使える「納期の特例」(半年分をまとめて納める仕組み)は、ホステス等の報酬には使えません。

国税庁の説明を整理すると、次のとおりです。

項目 内容
納付期限 報酬を支払った月の翌月10日まで(期限が土日・祝日などの休日なら、その休日明けの日)
納め方 e-Taxで所得税徴収高計算書のデータを送り、キャッシュレスで納付する/納付書を添えて金融機関の窓口で納付する
納期の特例 給与の支給人員が常時10人未満の事業者が、給与や一部の士業への報酬について半年ごとにまとめて納められる仕組み。ホステス等への報酬は対象外

給与について納期の特例を受けているお店でも、キャストへの報酬の分は毎月納める必要があります。給与は半年ごと、報酬は毎月と、納める時期が分かれることを覚えておきましょう。

毎月の流れを手順にすると、次のようになります。

  1. 月末(または支払いの区切り)に、キャストごとの報酬・報奨金・衣装代・タクシー代を合計する
  2. 計算期間の日数から控除額を出し、同じ月に給与があれば差し引く
  3. 源泉徴収する税額を出し、キャストへの支払額から差し引いて払う
  4. キャストに、支払った額と源泉徴収した額が分かる明細を渡す
  5. 翌月10日までに、その月に源泉徴収した税額の合計を納める

キャストに渡す明細には、何を書けばいい?

キャストに渡す明細には、計算期間、報酬の内訳、控除額、源泉徴収した税額、日払いで先に渡した額、差し引きの支払額を書いておくと、本人が確定申告で迷いません。お店にとっても、あとで計算を確かめるときの記録になります。

キャストは、源泉徴収された税額を確定申告で精算します。明細が無いと、いくら源泉徴収されたのかを本人が確かめられず、問い合わせが店に来ることになります。明細の項目は、次の形にしておくと分かりやすくなります。

明細の項目 書き方の例(数字は例)
計算期間 3月1日〜3月31日(31日間)
報酬(バック・時給の合計) 690,000円
報奨金・衣装代・タクシー代 名目ごとに書く(例:報奨金30,000円、衣装代20,000円、タクシー代10,000円)
報酬の合計 750,000円
控除額 5,000円×31日=155,000円
源泉徴収した税額 60,749円
日払いで先に渡した額 日付ごとに書く
差し引きの支払額 報酬の合計−源泉徴収した税額−日払いで先に渡した額

日払いのあるお店では、月末の明細で日払いの分をどう差し引いたかが見えることが大切です。日払いの記録と月末の給与がずれると、キャストとの間で「もらっていない」「渡した」の行き違いが起きます。日払いを渡したら、その場で記録を残す仕組みにしておきましょう。

年が明けたらやることは?(支払調書)

同じ人に1年間に支払ったホステス等の報酬の合計が50万円を超える場合は、翌年1月31日までに「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」を提出します。毎月の記録が、ここで年間の合計として必要になります。

項目 内容
提出が必要な人 同じ人に対する1年間の支払金額の合計が50万円を超える人
提出期限 支払いが確定した年の翌年1月31日まで
出し方 e-Taxか書面。「給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表」と一緒に出す

キャストの入れ替わりが多いお店では、年の途中で辞めたキャストの分も提出の対象になります。年末に慌てないよう、辞めたキャストの報酬の記録も消さずに残しておくことが大切です。支払調書にはキャストのマイナンバー(個人番号)を書く必要があります(キャスト本人に写しを渡す場合は、マイナンバーを書いて渡すことはできません)。必要な情報は、入店のときに確かめておきましょう。

よくある間違いは?

ホステス報酬の源泉徴収でよくある間違いは、日数の数え方、名目の漏れ、納める時期の3つです。どれも計算の仕組みを1度決めてしまえば、毎月同じように防げます。

よくある間違い 何が起きるか 防ぎ方
日数を出勤日数で数える 控除額が小さくなり、税額を取りすぎる 計算期間の初日から末日までの全日数で数える
衣装代・タクシー代を入れ忘れる 税額が足りなくなる 渡したお金を名目にかかわらず1つの一覧に記録する
給与と同じように半年ごとに納める 報酬の分の納付が遅れる 報酬の分は毎月、翌月10日までに納める
給与もある月に、控除額から給与を引き忘れる 税額が足りなくなる 同じ月の給与の額を控除額から差し引く
日払いの扱いを決めていない 計算期間が人によってばらばらになる 報酬の決め方を書面にし、税理士に確かめる

間違いに気づいたときは、早めに直すことが大切です。源泉徴収した税額が足りなかった場合は、不足分を納める必要があります。反対に取りすぎていた場合は、キャストへ返す方法や、どの月の分として整理するかを決める必要があります。どちらの場合も、いつの、誰の、いくらの計算を直したのかを記録に残し、顧問の税理士と手順を確かめてから直してください。

計算そのものは単純でも、キャストが10人、20人と増えると、名目の漏れや日数の取り違えが起きやすくなります。表計算で管理する場合は、日数と控除額を自動で出す列を作っておくと、人による違いが出にくくなります。

源泉徴収の計算を、締めの作業に組み込むには?

源泉徴収の計算は、バックの計算や日払いの記録と同じデータから出せると、月末の作業が一度で終わります。報酬の計算と源泉徴収を別々の表で行うと、数字を書き写すたびにずれが生まれます。

夜のお店向けのPOSレジや売上管理システムには、指名やバックの計算から給与明細までを扱うものがあります。選ぶときは、源泉徴収の設定ができるかに加えて、次の点を確かめてください。

  • 計算期間の日数を、払い方(月払い・週払い)に合わせて設定できるか
  • 報奨金・衣装代などの名目を、報酬に含めて計算できるか
  • 給与と報酬が両方ある人の控除額を、正しく出せるか
  • 1年間の支払合計を、人ごとに書き出せるか(支払調書のため)

POSレジの選び方全体は「キャバクラのPOSレジの選び方」、バックの計算方法は「キャバクラのバック計算」で解説しています。

株式会社KOKUの「ポッキリ.Night」では、バックの計算から給与明細の作成(控除・加算)までを同じ画面で行い、勤怠データはCSVで書き出せます。源泉徴収の計算期間の扱いを含め、お店の払い方で使えるかは、オンラインのご相談で実際の画面をお見せしながら確かめます。

まとめ

ホステス報酬の源泉徴収は、次の5点を押さえれば毎月同じように計算できます。

  1. 個人で営むお店も、キャストに報酬を払っていれば源泉徴収が必要
  2. 式は(報酬−5,000円×計算期間の日数)×10.21%。1円未満は切り捨て
  3. 日数は出勤日数ではなく、計算期間の全日数
  4. 衣装代・タクシー代・報奨金も含め、翌月10日までに毎月納める(納期の特例は使えない)
  5. 年間50万円を超える人は、翌年1月31日までに支払調書を出す

税の扱いは、お店とキャストの契約の形や払い方で変わります。この記事は国税庁の公開情報をもとにした一般的な説明です。最終的な判断は、顧問の税理士に確認してください。

出典

よくある質問

キャストが1人だけのスナックでも、源泉徴収は必要ですか?

必要です。国税庁は、給与を払っていない個人の事業者でも、ホステス等に報酬を支払う場合は源泉徴収が必要だとしています。人数や店の規模で不要になるわけではありません。

源泉徴収した税金を納め忘れたらどうなりますか?

期限を過ぎると、延滞税や不納付加算税がかかることがあります。気づいた時点で早めに納め、顧問の税理士に相談してください。

キャストから「源泉徴収しないでほしい」と言われました。応じてよいですか?

源泉徴収は支払う側の義務で、本人の希望で省くことはできません。報酬の手取りがどう計算されるかを、入店のときに説明しておくと行き違いが減ります。

体験入店で1日だけ働いたキャストにも、源泉徴収は必要ですか?

ホステス等の報酬にあたるなら対象です。その日の分をその日に払うなら計算期間は1日で、控除額は5,000円です。報酬がそれ以下なら、源泉徴収する税額は出ません。

ヘルプのキャストに払う少額の報酬にも源泉徴収はかかりますか?

ホステス等の報酬にあたるなら対象です。ただし控除額(5,000円×計算期間の日数)を引いた残りに税率を掛けるため、少額で控除額を下回れば源泉徴収する税額は出ません。

この記事を書いた会社

株式会社KOKUは、夜のお店向けの売上管理システム「ポッキリ.Night」を開発・提供している会社です(法人番号 3020001167569・神奈川県横浜市)。