キャバクラ経営は儲かる?損益分岐点と毎日見る指標

約18分で読めます文:株式会社KOKU

日本政策金融公庫の2025年度の調査で、キャバクラを含むとみられる業種(法律で定める営業の許可を得ている企業・法人73社)の売上高営業利益率は、**平均でわずかな赤字(−1.1%)、中央値でもほぼ0(0.5%)**でした。調査の数字は目安にとどめ、自分の店で利益が残るかどうかは、固定費と、毎日の組数・客単価から計算して確かめる必要があります。

この記事で分かること:

  • 公的な調査の数字から見た、キャバクラを含む業種の収支の目安
  • キャストのバックを分けて考える、損益分岐点と必要な組数の計算方法
  • 毎日見るべき指標(組数・客単価・指名率・延長率)と、売掛・資金繰りの管理

すでにキャバクラを経営しているオーナー・店長に向けて書いています。開業の手続きや許可については扱いません。株式会社KOKUは、夜のお店向けの売上管理システム「ポッキリ.Night」を開発・提供しています。計算例の金額は、出典を書いたもの以外はすべて説明のための仮の数字です。

公的な調査では、キャバクラを含む業種の収支はどうなっている?

日本政策金融公庫の「小企業の経営指標調査」(2025年度調査)では、キャバクラを含むとみられる業種のうち許可を得ている企業(法人73社)の売上高総利益率は平均79.8%と高い一方、売上高営業利益率は平均−1.1%、中央値0.5%でした。平均では赤字に入っています。

調査の主な数字は次のとおりです。

指標 全体の平均 黒字かつ自己資本プラスの企業の平均 中央値
売上高総利益率 79.8% 79.6% 82.3%
人件費対売上高比率 30.4% 32.2% 29.8%
諸経費対売上高比率 39.4% 35.6% 37.4%
売上高営業利益率 −1.1% 4.5% 0.5%
損益分岐点比率 102.4% 95.9% 99.5%
従業者1人当たり売上高 11,599千円 11,468千円 8,824千円
店舗面積3.3㎡当たり売上高 2,480千円 2,649千円 1,969千円

表の「黒字かつ自己資本プラスの企業」は、73社のうち38社です。この38社と全体を比べると、売上高総利益率はほぼ同じ(79.6%と79.8%)で、諸経費の割合は3.8ポイント低く(35.6%と39.4%)、人件費の割合は1.8ポイント高く(32.2%と30.4%)なっています。ただし、黒字の企業だけを選んで集計した数字なので、費用の合計の割合が低いのは当然でもあり、この差から「何が黒字の原因か」までは言えません。諸経費の内訳も調査には載っていません。

自分の店と比べる前に、調査の定義を押さえておきましょう。

調査の定義 自分の店と比べるときの注意
対象は、公庫が融資した法人企業(この業種は73社) 個人で営む店は入っていない。公庫も「必ずしも当該業界全般の実態を反映するものではない」としている
人件費は、役員報酬・退職金・福利厚生費を含む 社長の報酬も人件費に入っている
キャストへの報酬の扱いは、定義に書かれていない 報酬を人件費と諸経費のどちらで処理しているかは企業で違う可能性がある。人件費30.4%を、キャストへの支払いの割合として読まない
売上高は、原則として消費税を含む 税抜きの売上と比べると、割合がずれる
損益分岐点比率は、人件費を含む営業経費と支払利息をすべて固定費として計算している この記事の後半の計算(キャストのバックを変動費に入れる)とは計算の仕方が違うため、自分の店の比率と102.4%をそのまま比べない
従業者には、代表者・常勤役員・3か月以上続けて雇われているパートなどが入る 業務の委託のキャストが入るかは分からない。従業者1人当たり売上高を「キャスト1人あたりの売上」として読まない
店舗面積は、事務所・倉庫・厨房などを除いた面積 契約の坪数で割ると、1坪当たりの売上が小さく出る

比べるときは、ずれの方向を見る程度にとどめ、判断は自分の店の数字で行ってください。

自分の店に当てはめやすいのは、店舗面積3.3㎡(1坪)当たりの売上高です。全体の平均は年2,480千円、中央値は年1,969千円でした。平均は各企業の値の単純な平均なので、1坪当たりの売上が特に大きい企業があると高く出ます。この業種では、中央値が平均より2割ほど低くなっています。たとえば客席などの面積が30坪の店なら、中央値の水準で年およそ5,900万円(月およそ490万円)、平均の水準で年およそ7,440万円(月およそ620万円)です。自分の店の坪数で同じ計算をして、今の売上がこの水準より上か下かを見ると、店の広さに対して売上が足りているかの目安になります。ただし、立地や客単価で大きく変わる数字なので、あくまで目安として使ってください。

キャバクラの売上は、どう組み立てる?

キャバクラの1か月の売上は「1日の組数 × 1組あたりの客単価 × 営業日数」で組み立てます。客単価は、セット料金・延長・指名料・ドリンク・ボトル・サービス料(TAX)の合計です。どれを増やすかで打ち手が変わるため、売上の合計だけでなく、中身を分けて記録することが大切です。

仮の1組で、客単価の中身を分けてみます(数字はすべて仮です)。

明細 1組あたりの金額(仮) 増やす打ち手
セット料金(60分×2名) 12,000円 料金表の見直し
延長(30分×1回) 4,000円 延長の声かけの漏れを減らす
本指名料 3,000円 指名につながる接客・名刺・連絡
キャストのドリンク 3,000円 ドリンクバックの設計
サービス料(TAX) 3,000円 料金表の見直し
1組あたりの客単価 25,000円

料金表を変えずに店の工夫で動かせる余地があるのは、延長と指名です。延長は、時間を過ぎた卓への声かけに左右され、忙しい時間ほど声かけが漏れやすくなります。指名は、初めてのお客様が次に来るときに誰を指名するかにかかっています。料金表を変えるのは影響が大きいため、まずは延長率と指名率を記録して、どこが弱いかを確かめましょう。

料金表を見直すときは、何を確かめる?

料金表を見直すときは、値上げの幅よりも先に、今の客単価の中身(セット・延長・指名・ドリンク・TAX)のどこを変えるのかを決めます。料金は常連のお客様の来店の回数にも影響するため、変えた後の組数と客単価を、前の月と比べて確かめることが大切です。

見直しの手順は次のとおりです。

  1. 今の客単価の中身を出す:1か月分の会計を、セット・延長・指名料・ドリンク・ボトル・TAXに分けて合計する
  2. 変える項目を1つに絞る:一度に複数を変えると、どの変更が効いたのか分からなくなる
  3. 試算する:先月の組数がそのままだったとして、新しい料金で売上がいくらになるかを出す
  4. 伝え方を決める:常連のお客様には前もって伝える
  5. 1か月後に確かめる:組数と客単価が、前の月と比べてどう動いたかを見る

料金を上げて客単価が上がっても、組数が減れば売上は伸びません。組数と客単価を必ず一緒に見るようにしましょう。

費用は、固定費と変動費にどう分ける?

キャバクラの費用は、売上に連動する変動費(仕入れ・キャストのバックや歩合・カード決済の手数料)と、売上に関係なくかかる固定費(家賃・黒服や店長の給料・広告)に分けて考えます。キャストの時給と送りのタクシー代は、出勤の人数で調整できる半分変動の費用です。

費用を分けると、次のようになります。

区分 主な費用 特徴
変動費 お酒・食べ物の仕入れ、キャストのバックや歩合、カード決済の手数料 売上が増えると増え、減ると減る
半分変動 キャストの時給、送りのタクシー代 出勤の人数とシフトで調整できる
固定費 家賃、黒服・店長の給料、広告・求人、水道光熱費、リース 売上が減っても下がらない

ここで大切なのは、キャストのバックは変動費、時給は半分変動と分けて考えることです。売上の割合で決めるバックは、売上が落ちれば一緒に減ります(1件ごとの固定額のバックは、件数に連動します)。時給は出勤した時間に払うので、暇な日に出勤を多くしすぎると、売上に対して重くなります。シフトを組むときに、曜日ごとの組数の記録を見て出勤の人数を決めると、時給の割合を抑えられます。送りのタクシー代も、同じ方面のキャストをまとめて送るなど、出勤の組み方で変わる費用です。

損益分岐点と必要な組数は、どう計算する?

キャバクラの損益分岐点の売上は「固定費 ÷(1 − 変動費の割合)」で出します。キャストのバックを変動費に入れて計算するのがポイントです。仮に固定費が月530万円、変動費の割合が37%なら、530万円 ÷ 0.63 ≒ 841万円が、赤字にならないために必要な1か月の売上です。

仮の数字で、1か月の費用を書き出してみます。

項目(1か月・仮の数字) 金額 区分
家賃 120万円 固定費
キャストの時給 180万円 固定費として計算(シフトで調整)
黒服・店長の給料 120万円 固定費
広告・求人 40万円 固定費
送りのタクシー代 30万円 固定費として計算
水道光熱費・その他 40万円 固定費
固定費の合計 530万円
仕入れ 売上の20% 変動費
キャストのバック・歩合 売上の15% 変動費
カード決済の手数料など 売上の2% 変動費
変動費の割合 売上の37%

計算の手順は次のとおりです。

  1. 固定費を合計する:売上に関係なく毎月かかる費用を書き出す(上の例では530万円)
  2. 変動費の割合を出す:仕入れ・バック・手数料を、売上に対する割合で出す(上の例では37%)
  3. 損益分岐点を出す:530万円 ÷(1 − 0.37)= 530万円 ÷ 0.63 ≒ 841万円
  4. 必要な組数に直す:841万円 ÷ 客単価25,000円 ≒ 337組。25日営業なら1日あたり約13.5組

この店が1日12組・客単価25,000円・25日営業なら、売上は750万円です。750万円 × 0.63 − 530万円 = −57.5万円で、月に57.5万円の赤字になります。

ここから黒字に近づける打ち手を、同じ式で比べてみます。比べやすいよう、売上を増やす打ち手はどれも10%で比べます。

打ち手(仮の数字) 1か月の売上 利益
今のまま(1日12組・25,000円・25日) 750万円 −57.5万円
客単価を10%上げる(27,500円) 825万円 −10.25万円
組数を10%増やす(月330組) 825万円 −10.25万円
組数を10%増やし、出勤も増やして時給が18万円・送りが3万円増える 825万円 −31.25万円
固定費を40万円下げる 750万円 −17.5万円

この式では、客単価と組数のどちらを上げても、売上が同じ割合だけ増えれば利益の増え方は同じです。違いが出るのは、組数を増やすために出勤を増やすと、時給と送りの分だけ利益が減るところです。客単価を上げる打ち手(延長・ボトル)でも、キャストが席にいる時間が延びれば時給は増えることがあり、料金を上げすぎると組数が減るおそれもあります。どの打ち手が効くかは店の数字で変わるため、自分の店の固定費と変動費の割合で、同じ表を作ってから打ち手を決めるのが確実です。

毎日見るべき指標は?

毎日の締めでは、売上の合計に加えて、組数・客単価・指名率・延長率・キャスト1人あたりの売上を記録します。売上が落ちたとき、この5つのどれが落ちたかで、やるべきことが変わるからです。

指標と、その出し方を並べます。

指標 出し方 落ちたときに見るところ
組数 その日に来たお客様の組の数 新しいお客様の集客、常連のお客様への連絡
1組あたりの客単価 売上 ÷ 組数 延長・ボトル・ドリンクの出方
指名率 指名のあった組 ÷ 全部の組 初めてのお客様への接客、名刺・連絡
延長率 延長した組 ÷ 全部の組 時間を過ぎた卓への声かけ
キャスト1人あたりの売上 売上 ÷ その日の延べ出勤人数 出勤の人数が組数に見合っているか

1日だけ見ても、たまたまの波か、続いている変化かは分かりません。週ごと・曜日ごとに並べて、前の週や前の月と比べる習慣をつけましょう。

特にキャスト1人あたりの売上は、シフトの組み方を見直す手がかりになります。この数字が下がっている曜日は、組数に対して出勤が多すぎる可能性があります。反対に、この数字が高すぎる日は、出勤が足りずにお客様を待たせているかもしれません。

時間帯と曜日の数字で、何を変える?

時間帯ごと・曜日ごとの組数と売上を見ると、キャストの出勤時間と人数、黒服の配置、営業時間そのものを見直せます。売上が同じでも、混む時間に人が足りず待たせている店と、暇な時間に人が余っている店では、打つ手が逆になります。

見ておきたいのは、次の組み合わせです。

見る数字 分かること 変えられること
時間帯ごとの組数 何時から何時が混むか キャストの出勤時間を混む時間に寄せる
時間帯ごとの延長率 どの時間に延長が出やすいか 延長の声かけを担当する黒服の配置
曜日ごとの組数 どの曜日が強い・弱いか 曜日ごとの出勤人数、イベントの曜日
曜日ごとのキャスト1人あたりの売上 出勤が多すぎる曜日・少なすぎる曜日 シフトの人数

開店からの1〜2時間の組数が少ない店では、その時間の出勤を減らし、混む時間の出勤を厚くするだけで、時給の割合が下がることがあります。反対に、混む時間に指名のキャストが席を回りきれていないなら、出勤を増やすほうが売上につながります。時間帯の記録は、シフトを組む人がすぐ見られる形で残しておくと、毎週のシフトに生かせます。

キャストごとの数字は、どう見る?

キャストごとの数字は、指名本数・同伴数・担当した組の売上・バックの合計・時給の合計を並べて見ます。大切なのは、その数字をキャストを責める材料にせず、給与の決め方やシフトが売上に見合っているかを確かめる材料として使うことです。

キャストごとに並べたい数字は次のとおりです。

数字 分かること
出勤日数と出勤時間 シフトどおりに出勤しているか
指名本数(本指名・場内指名) 指名につながっているか
同伴数 来店のきっかけを作れているか
担当した組の売上 売上への貢献
時給・バックの合計(支払った額) 店からの支払い
支払った額 ÷ 担当した組の売上 給与の決め方が売上に見合っているか

最後の「支払った額 ÷ 担当した組の売上」は、給与の決め方を見直すときの物差しになります。この割合が人によって大きく違うときは、時給とバックの配分が、店が伸ばしたい行動(指名・同伴・延長)と合っていない可能性があります。

キャストの数字を見せるときは、本人には本人の数字だけを見せる方法があります。順位を貼り出すかどうかは店の方針しだいですが、数字の出し方と計算の仕方をそろえておかないと、不公平だと感じさせてしまいます。

キャストの給与は、どう設計する?

キャストの給与は、時給とバックの組み合わせで、店が伸ばしたい行動にお金が向くように設計します。指名を増やしたいなら指名バックを、ボトルを増やしたいならボトルバックを厚くし、変えた後は「支払った額 ÷ 担当した組の売上」がどう動いたかで確かめます。

設計の手順は次のとおりです。

  1. 伸ばしたい行動を決める:指名・同伴・延長・ボトルのうち、今の店で弱いものを、毎日の指標から選ぶ
  2. 時給とバックの配分を決める:伸ばしたい行動のバックを厚くし、その分の原資を時給か別のバックから回す
  3. 試算する:先月の実績に新しい決め方を当てはめ、キャストごとの支払いと店全体の支払いの割合を計算する
  4. 書面で伝える:変える日と、変える前後の計算の仕方を、事前にキャストに書面で伝える
  5. 1か月後に確かめる:伸ばしたい行動の数字と、支払いの割合がどう動いたかを見る

バックの種類と計算例は「キャバクラのバック計算」で詳しく解説しています。報酬として払っている場合の源泉徴収は「ホステス報酬の源泉徴収の計算方法」をご覧ください。キャストを雇用している場合は、地域別の最低賃金(厚生労働省「地域別最低賃金の全国一覧」)や、給与からの差し引きについての労働基準法の決まり(e-Gov法令検索「労働基準法」)にも気をつけてください。給与の決め方の最終的な判断は、社会保険労務士や税理士に確認してください。

黒服・店長が、毎日の締めで確かめることは?

毎日の締めでは、お金の合計が合っているかに加えて、指名やヘルプの付け方、日払い、売掛の記録が正しいかを確かめます。この確認が、キャストの給与と月末の数字の正しさを支えます。

締めで確かめる項目を、順に並べます。

  1. 売上と払い方の内訳:現金・売掛・カードに分けて合計し、レジの現金と照らし合わせる
  2. 指名・同伴・ヘルプ:伝票と記録が合っているか、付け先のキャストを間違えていないかを見る
  3. 延長と値引き:延長の記録が漏れていないか、値引きを誰が決めたかが残っているかを見る
  4. 日払い:その日に渡した額が、キャストごとに記録されているかを見る
  5. 売掛:新しく受けた売掛と、回収した売掛を記録する
  6. その日の指標:組数・客単価・指名率・延長率を、いつもの同じ曜日と比べる

締めを担当する人が日によって替わる店では、手順を紙に書いて置いておくと、誰が締めても同じ記録が残ります。確認は、締めをした人とは別の人が翌日に見直すと、思い込みによる見落としが減ります。

新しいお客様と常連のお客様は、どう分けて見る?

組数は、新しいお客様と常連のお客様に分けて記録します。新しいお客様の数は集客の強さを、新しいお客様が2回目に来たかどうかは接客と指名につながる力を、常連のお客様の来店の間隔は関係が続いているかを表します。

数字 出し方 分かること
新しいお客様の組数 その月に初めて来た組の数 集客の強さ、媒体の効き目
2回目の来店 初めて来た組のうち、翌月までにもう一度来た組の数 接客と指名につながっているか
常連のお客様の来店の間隔 前回の来店から何日空いたか 間隔が空いてきたお客様に早めに気づける
常連のお客様の偏り 上位の数組が売上に占める割合 特定のお客様に頼りすぎていないか

組数の合計が変わらなくても、新しいお客様が減って常連のお客様だけで支えている状態が続くと、常連のお客様が来なくなったときに売上を補えなくなるおそれがあります。反対に、新しいお客様は多いのに2回目の来店が少ないなら、集客ではなく接客や指名の側に手を打つ必要があります。合計の組数だけでなく、この2つを分けて毎月比べると、どちらに手を打つべきかが分かります。

売掛(ツケ)と資金繰りは、どう管理する?

売掛が多い店では、売上が立っているのに、家賃や給料の支払い日に現金が足りなくなることがあります。売掛は、誰の担当の、いつの、いくらかを記録し、回収の予定日と上限を決めて、残りの合計を毎週確かめることが大切です。

売掛の管理で決めておきたいことは次のとおりです。

決めること 例 決めていないと起きること
記録の項目 日付・お客様・担当・金額・回収の予定日 回収のときに金額でもめる
上限 お客様ごとの上限、店全体の上限 回収できないお金が膨らむ
回収の期限 来店の翌月末まで など 古い売掛が残り続ける
回収できなかったときの扱い 誰がどう対応するか キャストとの間でもめる
確かめる頻度 毎週、残りの合計と古い順の一覧を見る 気づいたときには回収が難しい

資金繰りの面では、売上の合計ではなく「現金が入ってくる日」で見ることが大切です。現金・売掛・カード決済では、お金が手元に入る日が違います。月の支払い(家賃・給料・仕入れ・源泉徴収した税金の納付)の日付を並べ、その日までに入ってくる現金で足りるかを、月の初めに確かめておきましょう。

売掛の残りは、来店からの期間で「1か月以内」「1〜3か月」「3か月を超えるもの」の3つに分けて見ると、回収を急ぐべきものがすぐに分かります。3か月を超える売掛が増えてきたら、担当のキャストと店長で、お客様ごとに回収の段取りを話し合う時期です。

回収できなかった売掛を、キャストへの支払いから差し引くルールにしている店もあります。雇用か業務の委託かにかかわらず、こうしたルールには法律上の問題が生じることがあるため、作る前に社会保険労務士や弁護士に確認してください。

採用と定着は、どんな数字で見る?

キャストの採用と定着は、「1人採用するのにかかった費用」と「採用した人が何か月続いたか」で見ます。採用の費用が同じでも、続く期間が短ければ、1人あたりにかかる費用は大きくなります。

記録しておきたい数字は次のとおりです。

数字 出し方 分かること
採用1人あたりの費用 求人・紹介にかかった費用 ÷ 採用した人数 媒体ごとの効率
体験入店からの入店率 入店した人数 ÷ 体験入店の人数 店の雰囲気や条件の伝わり方
3か月後に残っている割合 3か月後も在籍している人数 ÷ その月に入店した人数 定着の度合い
在籍中の売上 入店から退店までの担当した組の売上の合計 採用の費用に見合ったか

媒体ごとに、費用・体験入店の人数・入店した人数・3か月後に残っている人数を並べると、安い媒体が本当に安いのかが分かります。求人の費用は、入店した人数ではなく、定着した人数で割って比べましょう。

辞める理由は、退店のときに聞ける範囲で記録しておくと、次の採用と定着の手がかりになります。入店から1か月以内に辞める人が多いときは、体験入店のときの説明と、入店してからの実際の条件や雰囲気が違っていないかを確かめてみてください。

赤字につながりやすいのは、どんなパターン?

赤字につながりやすいのは、固定費が組数に対して大きすぎる、暇な日に出勤が多すぎる、売掛が回収できない、数字を月末まで見ていない、といったパターンです。どれも、毎日の数字を同じ形で記録していれば早めに気づけます。

パターン 起きること 早めに気づくための数字
家賃や広告などの固定費が大きい 組数が少し減るだけで赤字になる 損益分岐点の組数と、毎日の組数
暇な日に出勤が多い 時給の割合が売上に対して重くなる 曜日ごとのキャスト1人あたりの売上
売掛が回収できない 売上はあるのに現金が足りない 売掛の残りの合計と、古い売掛の一覧
延長の声かけが漏れる 客単価が上がらない 延長率
指名につながらない 常連のお客様が増えない 指名率、2回目に来たお客様の数
数字を月末まで見ない 赤字に気づくのが遅れる 週ごとの売上と、損益分岐点との差

公庫の調査の73社では、売上高営業利益率の平均がマイナス(−1.1%)、中央値もほぼ0(0.5%)と利益の余裕が小さいため、小さなずれを早く見つけて直すことが大切です。

月に1度の振り返りは、どう進める?

月に1度は、売上・費用・指標を前の月と比べ、次の月にやることを1つか2つに絞って決めます。数字を見るだけで終わらせず、誰が・何を・いつまでにやるかまで決めることが大切です。

振り返りの手順は次のとおりです。

  1. 売上と利益を出す:売上、変動費、固定費、利益を出し、損益分岐点との差を見る
  2. 指標を比べる:組数・客単価・指名率・延長率・キャスト1人あたりの売上を、前の月と比べる
  3. 落ちた指標の理由を探す:曜日ごと・キャストごとに分けて、どこで落ちたかを見る
  4. 売掛と現金を確かめる:売掛の残り、来月の支払いに使える現金を確かめる
  5. 次の月にやることを決める:やることを1つか2つに絞り、担当と期限を決める
  6. 前の月の打ち手を確かめる:前の月に決めたことで、数字がどう動いたかを見る

振り返りの場には、オーナーと店長だけでなく、日々の締めをしている黒服も入ると、数字の裏にある現場の事情が分かります。

振り返りで決めたことは、次の月の振り返りの最初に読み返せるよう、1枚の紙かファイルに残しておきましょう。決めたことと、その結果の数字が並んでいくと、どの打ち手が自分の店に効くのかが分かってきます。

ポッキリ.Nightの場合

株式会社KOKUの「ポッキリ.Night」は、夜のお店向けの売上管理システムです。この記事の内容に関係する機能を、事実だけ並べます。

項目 ポッキリ.Night
フロア 卓ごとの人数・経過時間・金額が並び、時間を過ぎた卓には延長の確認が出る。指名・同伴・ヘルプを記録
経営の数字 売上目標と、これまでのペースから出した月末の着地見込み。日別・時間帯別・曜日別の売上、キャストの成績ランキング、イベントの目標
バック・給与 固定額、指名売上の割合、ボトルの分け方、スライド式など、11パターンの計算方式を組み合わせて設定。給与明細の作成
お金 売掛(ツケ)の記録と回収、レジ金・入出金
料金 月額30,000円プランと月額50,000円プランの2つ(税別)。月額30,000円プランに含まれる機能とサポートの範囲は、お問い合わせの際にご案内します

料金の詳しい条件は料金をご覧ください。お店の今の数字の取り方に合うかは、オンラインのご相談で実際の画面をお見せしながらご説明します。POSレジの選び方全体は「キャバクラのPOSレジの選び方」、スナックの数字の見方は「スナック経営は儲かる?」にまとめています。

まとめ

キャバクラ経営で利益を残すには、次の順で数字を押さえることが大切です。

  1. 公的な調査の数字(73社の平均はわずかな赤字・中央値でもほぼ0)を目安にとどめる
  2. 費用を固定費と変動費に分け、キャストのバックを変動費に入れて損益分岐点と必要な組数を出す
  3. 組数・客単価・指名率・延長率・キャスト1人あたりの売上を毎日記録する
  4. キャストの給与は、伸ばしたい行動にお金が向くように設計し、支払いの割合で確かめる
  5. 売掛は記録・上限・回収の期限を決め、現金が入ってくる日で資金繰りを見る

毎日の数字が残っていれば、売上が落ちたときに、どこが落ちたのかを確かめられます。まずは自分の店の固定費と変動費を書き出すところから始めてみてください。

出典

よくある質問

キャストを雇用にするか、業務委託にするかで、何が変わりますか?

給与として払うか報酬として払うかで、源泉徴収の計算、社会保険、労働時間や最低賃金などの法律の当てはまり方が変わります。どちらに当たるかは契約書の名前だけでなく働き方の実際で見られることがあるため、社会保険労務士と税理士に、実際の働き方を伝えて確かめてください。

閑散期に売上が落ちたとき、まず何から見直せばいいですか?

まず出勤の人数と送りなど、調整できる費用を、その月の組数の見込みに合わせて見直します。次に、常連のお客様への連絡やイベントで組数を支え、延長やボトルで客単価を保ちます。前の年の同じ月の記録があれば、どのくらい落ちるかを前もって見込めます。

2店舗目を出すときは、何を比べればいいですか?

売上の大きさではなく、1坪あたりの売上、客単価、指名率、キャストへの支払いの割合など、店の大きさに左右されにくい数字で比べます。同じ形で数字を取っておくと、どちらの店のどこが弱いかが分かります。

店長に任せる範囲は、どう決めればいいですか?

値引き・売掛の上限・シフトの人数・キャストの給与の決め方など、お金に関わる判断を一覧にし、店長が決めてよいことと、オーナーに相談することを分けて書面にしておきます。任せた範囲の数字(組数・客単価・時給の割合など)を毎週見ると、任せきりにならずに済みます。

税理士には、毎月何を渡せばいいですか?

日ごとの売上と払い方の内訳、売掛の残り、キャストとスタッフへの支払いの明細、源泉徴収の記録、経費の領収書が基本です。何を、いつまでに、どの形で渡すかを税理士と決めておくと、月末の作業が楽になります。

この記事を書いた会社

株式会社KOKUは、夜のお店向けの売上管理システム「ポッキリ.Night」を開発・提供している会社です(法人番号 3020001167569・神奈川県横浜市)。