スナック経営は儲かる?収支の目安と損益分岐点の計算

約18分で読めます文:株式会社KOKU

日本政策金融公庫の2025年度の調査(スナックの法人7社)の平均では、仕入れの割合は低いものの、人件費と家賃などの経費で売上の7割前後が出ていき、利益の余裕は小さい結果でした。売上高総利益率は平均82.5%、売上高営業利益率は平均3.0%、損益分岐点比率は平均94.5%です。儲かるかどうかは、自分の店の固定費と客数で計算して確かめる必要があります。

この記事で分かること:

  • 公的な調査の数字から見たスナックの収支の目安
  • 自分の店の損益分岐点と、1日に必要な客数の計算方法
  • 利益と「ママに本当に残るお金」の違い、売掛・ボトルキープ・開業の手続き

これからスナックを開く方、開いて間もないママ・オーナーに向けて書いています。株式会社KOKUは、夜のお店向けの売上管理システム「ポッキリ.Night」を開発・提供しています。計算例の金額は、出典を書いたもの以外はすべて説明のための仮の数字です。

スナック経営は儲かる?厳しい?

公庫の調査では、スナックは仕入れの割合が低く、仕入れを引いた後に残る割合は高い結果でした。一方で家賃・給料・光熱費などの固定費は売上に関係なくかかるため、客数が減った月に赤字になりやすい弱さもあります。

同じスナックでも、固定費の大きさと客数が違えば、残るお金は変わります。儲かるかどうかを判断するには、次の3つを自分の店の数字で確かめる必要があります。

  1. 固定費:家賃、スタッフの給料、水道光熱費、カラオケなどの設備の費用が、毎月いくらかかるか
  2. 粗利の割合:売上から、お酒や食べ物の仕入れを引いて、いくら残るか
  3. 客数と客単価:1日に何人来て、1人いくら使うか

この3つが分かれば、「月にいくら売れば赤字にならないか」「ママにいくら残したいなら何人来てもらう必要があるか」が計算で出せます。この記事の後半で、その計算の手順を順に説明します。

公的な調査では、スナックの収支はどうなっている?

日本政策金融公庫の「小企業の経営指標調査」(2025年度調査・2026年8月公表)には、業種として「スナック」の数字が載っています。売上高総利益率は平均82.5%、人件費対売上高比率は平均34.7%、売上高営業利益率は平均3.0%です。調査対象は公庫が融資した法人7社と少ないため、目安として見てください。

調査の主な数字を抜き出すと、次のとおりです(いずれも平均値)。

指標 スナックの数字 意味
売上高総利益率 82.5% 売上から仕入れを引いて残る割合
人件費対売上高比率 34.7% 売上に対する人件費の割合
諸経費対売上高比率 36.5% 家賃・光熱費などの経費の割合
売上高営業利益率 3.0% 売上に対する本業の利益の割合
損益分岐点比率 94.5% 今の売上のうち、赤字にならないために必要な売上の割合
1客席当たり売上高 2,559千円(中央値 2,024千円) 1席あたりの1年間の売上
店舗面積3.3㎡当たり売上高 2,572千円 1坪あたりの1年間の売上

この表から読み取れることは2つあります。1つは、仕入れの割合は低いが、人件費と経費で売上の7割前後が出ていくこと。もう1つは、損益分岐点比率が94.5%と高く、今の売上から5.5%ほど落ちると利益が無くなる水準だということです。調査の7社の平均で見る限り、「原価が安いから儲かる」は仕入れだけを見た話で、固定費まで含めると利益の余裕は小さいと言えます。

自分の店と比べる前に、調査の定義を押さえておきましょう。

調査の定義 自分の店と比べるときの注意
対象は、公庫が融資した法人企業(スナックは7社) 個人で営むお店は入っていない。7社と少なく、1社の数字で平均が大きく動く。公庫も「必ずしも当該業界全般の実態を反映するものではない」としている
人件費は、役員報酬・退職金・福利厚生費を含む 社長の報酬も人件費に入っている。個人のママの取り分は人件費ではなく利益から出るため、営業利益率3.0%をそのまま自分の店の利益と比べない
売上高は、原則として消費税を含む 税抜きの売上と比べると、割合がずれる
スナックの分類には、法律で定める営業の許可を得ていないものと注記がある 許可を得て営業しているお店とは、営業の仕方や料金の前提が違う可能性がある

自分の店と比べるときは、ずれの方向を見る程度にとどめ、判断は自分の店の数字で行ってください。

自分の店の損益分岐点は、どう計算する?

損益分岐点の売上は「1か月の固定費 ÷ 粗利の割合」で出せます。たとえば固定費が35万円で粗利の割合が80%なら、35万円 ÷ 0.8 = 43.75万円が、赤字にならないために必要な1か月の売上です。

仮の数字で、固定費を書き出してみます。

固定費の項目(1か月・仮の数字) 金額
家賃(共益費込み) 15万円
スタッフの給料(時給1,500円×4時間×20日) 12万円
水道光熱費・通信費 3万円
カラオケなど設備の費用 3万円
おしぼり・消耗品・広告など 2万円
合計 35万円

計算の手順は次のとおりです。

  1. 固定費を合計する:売上に関係なく毎月かかる費用を全部書き出す(上の例では35万円)
  2. 粗利の割合を出す:(売上 − お酒や食べ物の仕入れ)÷ 売上。分からなければ、まず1か月分のレシートと仕入れの請求書から計算する(上の例では80%と置く)
  3. 損益分岐点を出す:固定費 ÷ 粗利の割合 = 35万円 ÷ 0.8 = 43.75万円
  4. ママに残したい額を足す:ママの取り分として月30万円(税金・保険料を払う前の額)残したいなら、(35万円 + 30万円)÷ 0.8 = 81.25万円が目標の売上

ここで大事なのは、ママ本人の取り分は固定費に入っていないことです。個人で営むスナックでは、ママの取り分は経費ではなく利益から出ます。損益分岐点の売上を達成しただけでは、ママの取り分はまだ残っていません。目標を立てるときは、手順4のように、残したい額を足した売上で考えましょう。

売上の目安は、客単価と客数からどう逆算する?

必要な客数は「目標の売上 ÷ 客単価」で出ます。先ほどの例で目標の売上が月81.25万円、客単価が5,000円なら、月に163人、20日営業なら1日あたり約8.2人、つまり1日8〜9人に来てもらう必要があります。

客単価と営業日数を変えると、必要な客数は次のように変わります(目標の売上は月81.25万円・仮の数字)。

客単価 月に必要な客数 20日営業の1日あたり 25日営業の1日あたり
4,000円 約204人 約10.2人 約8.2人
5,000円 約163人 約8.2人 約6.5人
6,000円 約136人 約6.8人 約5.4人
8,000円 約102人 約5.1人 約4.1人

(月の客数は目標に届くよう切り上げ、1日あたりはその人数を営業日数で割って小数第1位まで出しています。)

この表を見ると、客単価が5,000円から6,000円に上がると、20日営業で1日に必要な客数が1.4人ほど減ることが分かります。新しいお客様を増やすのが難しいときは、ボトルを入れていただく、延長していただくなど、客単価の側から考える手もあります。

席数からも見てみます。公庫の調査では、スナックの1客席当たりの年間売上高は平均2,559千円(中央値2,024千円)でした。10席のお店なら、平均の数字で年間およそ2,559万円、中央値なら2,024万円です。月にすると約213万円と約169万円になります。自分の店の席数で掛け算をして、目標の売上が席数に対して無理のない水準かを確かめてみてください。ただし先ほど書いたとおり、調査対象は7社と少ないため、あくまで目安です。

料金表は、どう決める?

料金表は、目標の客単価から逆算して決めます。セット料金・チャージ・ボトル・カラオケなどを、よくあるお客様の過ごし方で足し合わせたときに、目標の客単価になり、かつ粗利の割合が下がりすぎない組み合わせにするのが基本です。

仮の料金表で、よくある過ごし方の客単価を計算してみます(すべて仮の数字です)。

項目 仮の料金 1人の過ごし方の例 金額
セット料金(1時間・飲み放題の焼酎など) 3,000円 1時間 3,000円
延長(30分) 1,000円 1回 1,000円
スタッフへのドリンク 1,000円 1杯 1,000円
カラオケ 1曲100円 5曲 500円
客単価 5,500円

料金を決めるときに確かめたいのは、次の3点です。

  1. よくある過ごし方で、目標の客単価に届くか:常連のお客様の過ごし方と、初めてのお客様の過ごし方の両方で計算する
  2. 粗利の割合が下がりすぎないか:飲み放題のお酒や、仕入れの高いお酒の割合が増えると、粗利の割合が下がる
  3. お客様に分かりやすいか:入口や席で料金が分かると、初めてのお客様も安心して入れる。会計のときに「思ったより高い」と感じさせないことが、次の来店につながる

料金を変えるときは、常連のお客様に前もって伝えておくと、行き違いが起きません。

利益と「ママに残るお金」は、どう違う?

帳簿の上の利益と、ママの手元に実際に残るお金は同じではありません。個人で営む場合、利益から所得税・住民税・国民健康保険料・国民年金の保険料を払い、条件によっては個人事業税や消費税も納め、借入があれば元金の返済もここから出ていくため、手元に残る額は利益より小さくなります。

利益から手元に残るお金までの流れを、順に並べると次のようになります。

順番 項目 説明
1 売上 お客様から頂いたお金の合計
2 − 仕入れ お酒・食べ物などの仕入れ
3 − 経費 家賃・給料・光熱費・設備の費用・借入の利息など
4 = 利益(事業の所得) 確定申告で申告する事業の所得のもとになる
5 − 税金・保険料 所得税・住民税、国民健康保険料・国民年金の保険料など。飲食店業は個人事業税の対象業種(事業主控除は年290万円)。消費税を納める義務がある場合は、預かった消費税から支払った消費税を差し引いた額の納付もある
6 − 借入の元金の返済 元金の返済は経費にならないが、お金は出ていく
7 = 手元に残るお金 生活に使えるお金

消費税は、個人事業者の場合、前々年の課税売上高が1,000万円を超えたときなどに納める義務が生じます(インボイスの登録をしている場合は、売上の額にかかわらず納めます)。納める義務がある場合、売上に含めて受け取っている消費税の多くは、ママのお金ではなく、あとで納めるお金です。

特に見落としやすいのが、6の元金の返済です。開業のときにお金を借りた場合、毎月の返済のうち利息は経費になりますが、元金は経費になりません。帳簿では利益が出ているのに、手元にお金が残らないということが起きます。反対に、内装などの大きな買い物は、何年かに分けて経費にしていくため、お金が出ていった年と経費になる年がずれます。

もう1つ大切なのが、お店のお金と生活のお金を分けておくことです。お店の売上を生活費の財布にそのまま入れていると、利益がいくら出ているのか、手元のお金のうちいくらが税金や保険料の支払いに回るお金なのかが分からなくなります。お店用の口座を作り、売上の入金と経費の支払いはその口座で行い、ママの取り分は毎月決まった額だけ移す、という形にしておくと、数字が見えやすくなります。

税金や保険料の額は、所得や住んでいる地域、家族の状況で変わります。開業する前に、顧問の税理士に「この売上なら、手元にいくら残るか」を試算してもらうと、目標の売上を決めやすくなります。税金の扱いは個別の事情で変わるため、最終的な判断は税理士に確認してください。

赤字になりやすいのは、どんなとき?

スナックの赤字は、客数の波に対して固定費が大きすぎるときに起きやすくなります。特に家賃と人件費は一度決めると下げにくいため、開業の前の物件選びとスタッフの配置が大切です。

赤字につながりやすい原因と、防ぎ方を並べます。

赤字になりやすい原因 起きること 防ぎ方
家賃が高すぎる 客数が少し減るだけで赤字になる 物件を決める前に、その家賃で損益分岐点を計算する
スタッフを入れすぎる 暇な日も給料がかかる 曜日ごとの客数を記録し、混む曜日に人を寄せる
売掛が回収できない 売上は立っているのにお金が入らない 売掛の上限と回収の期限を決め、担当ごとに記録する
常連が数人に偏る その方が来なくなると売上が大きく落ちる 常連の数と来店の間隔を記録し、新しいお客様も増やす
値引きやサービスが決まっていない スタッフごとに対応が違い、粗利が減る 値引きやサービスを誰が決めるかをルールにする
数字を見ていない 赤字に気づくのが遅れる 毎日の売上・客数・客単価を記録し、週に1度見返す

この中で特に気をつけたいのが常連の偏りです。常連のお客様の来店が売上の土台になっているお店で、売上の多くを数人のお客様に頼っていると、その方の転勤や体調の変化で、売上が一気に落ちます。誰がどのくらいの間隔で来ているかを記録しておくと、来店の間隔が空いてきたお客様に早めに連絡を取れます。

売掛(ツケ)とカード決済は、お金の流れをどう変える?

売掛やカード決済があると、売上が立つ日とお金が手元に入る日がずれます。売上の合計だけを見ていると、家賃や給料の支払い日に現金が足りなくなることがあるため、「入ってくる日」を別に管理する必要があります。

それぞれの注意点を整理します。

払い方 お金が入る時期 管理のポイント
現金 その日 閉店後にレジの現金と売上を照らし合わせる
売掛(ツケ) お客様が払いに来た日 誰の、いつの、いくらの売掛かを記録し、回収の期限を決める
クレジットカードなど 決済サービスの入金日 手数料が引かれて入金されるので、入金額と売上の差を確かめる

売掛は、常連のお客様との信頼の上に成り立つ仕組みです。ただ、記録があいまいだと、回収するときに金額でもめたり、回収そのものを忘れたりします。売掛を受けるときは、日付・金額・担当・回収の予定日を必ず記録し、月に1度は残りの一覧を見返すようにしましょう。売掛が長く残っているお客様には、次の来店のときに声をかけるなど、回収の段取りも決めておくと安心です。

カード決済の手数料の率や入金のタイミングは、決済サービスによって違います。契約している決済サービスの条件を確かめ、手数料は経費として記録しておきましょう。

曜日と季節の波に、どう備える?

スナックの売上は、曜日や時期によって波があります。どの時期に売上が落ちるかは地域やお客様の層で違うため、自分の店の記録から波をつかみ、落ちる時期に備えて現金を残しておくことが大切です。

備え方の手順は次のとおりです。

  1. 曜日ごとの客数を記録する:毎日の売上と客数を、曜日が分かる形で残す
  2. 月ごとの売上を並べる:1年分たまったら、月ごとの売上を並べて、落ちる月を確かめる
  3. 落ちる月の固定費を確かめる:その月の売上で家賃と給料が払えるかを計算する
  4. 足りない分を前もって残す:売上が多い月に、落ちる月の不足分を取っておく
  5. 落ちる月の打ち手を決める:常連のお客様への連絡、イベント、営業時間の見直しなどを前もって決めておく

開業したばかりで1年分の記録が無いうちは、近くのお店の様子や、お客様の勤め先の繁忙期を聞いておくと参考になります。記録が1年分たまれば、翌年からは自分の店の数字で計画を立てられます。

開業してから最初の数か月は、何を見ればいい?

開業してしばらくは、売上の合計よりも「初めて来たお客様が、2回目に来てくれたか」を見るのが大切です。常連のお客様の来店が売上の土台になるお店では、2回目の来店につながっているかどうかが、数か月後の売上に影響します。

最初の数か月に記録したい数字を並べます。

見る数字 数え方 分かること
新しいお客様の数 その週に初めて来た人数 知ってもらえているか
2回目の来店 初めて来た方のうち、1か月以内にもう一度来た人数 お店を気に入ってもらえたか
来店の間隔 常連のお客様が、前回から何日空けて来たか 間隔が空いてきた方に気づける
曜日ごとの客数 曜日ごとの平均の人数 スタッフをどの曜日に入れるか

2回目の来店が少ないときは、接客・料金の分かりやすさ・お店の雰囲気・立地や営業時間など、どこかに理由があるはずです。初めてのお客様に、どこでお店を知ったか、また来たいと思ったかを、会話の中でさりげなく伺っておくと、手がかりになります。この記録は、紙のノートでも、毎日続ければ十分に役立ちます。

常連のお客様とボトルキープは、どう管理する?

常連のお客様の情報とボトルキープは、スナックの売上を支える大事な記録です。名前・好きなお酒・誕生日・前回の来店日、ボトルの銘柄と残量と期限を残しておくと、誰が接客しても同じおもてなしができ、来店の間隔が空いたお客様にも気づけます。

記録しておきたい項目を整理すると、次のようになります。

記録の種類 項目の例 使い道
お客様 名前、呼び名、好きなお酒、誕生日、勤め先の業種、前回の来店日 接客の話題、誕生日の連絡、来店間隔の確認
ボトルキープ 銘柄、入れた日、残量、期限、置き場所 ボトルを探す手間を減らす、期限の連絡
来店の記録 来店日、人数、使った金額、一緒に来た方 常連の偏りや来店の間隔を見る

ボトルキープは、期限と、期限が過ぎたときの扱いを決めておくことが大切です。棚が古いボトルで埋まる、長く来ていないお客様のボトルの扱いに迷う、といったことを防げます。ボトルを入れていただくときに、期限と延長の仕方をお伝えしておきましょう。

お客様の情報は個人情報です。何のために使うかを決め、見られる人を限り、スタッフが辞めるときに持ち出されないようにしておきましょう。紙のノートで管理している場合は、ノートの置き場所と、店の外に持ち出さない決まりを作っておくと安心です。

スタッフの給料とドリンクバックは、どう決める?

スナックのスタッフの給料には、時給にドリンクバック(頂いたドリンク1杯ごとの歩合)を足す形があります。時給とバックの割合を決めるときは、スタッフにとっての働きがいと、お店の人件費の割合の両方を見て決めます。

決めるときの手順は次のとおりです。

  1. 人件費の上限を決める:売上に対して、スタッフの人件費をどのくらいまでに収めるかを決める(公庫の調査の34.7%は社長の報酬を含む法人の数字なので、スタッフだけの上限としては高めに出る)
  2. 時給を決める:近くの求人の条件を見て、人が集まる時給を決める
  3. ドリンクバックを決める:ドリンク1杯あたりのバックを、固定額にするか、ドリンク代の割合にするかを決める
  4. 月の人件費を試算する:よくある1日の営業で、時給とバックを足した額を計算し、上限に収まるかを確かめる
  5. 書面で伝える:時給・バックの決め方・日払いの扱いを、入店のときに書面で伝える

スタッフを雇用している場合は、時給について地域別の最低賃金のルールがあり(厚生労働省「地域別最低賃金の全国一覧」)、給与からの差し引きにも労働基準法の決まりがあります(e-Gov法令検索「労働基準法」)。スタッフに「報酬」として払っている場合は、ホステス等の報酬として源泉徴収が必要になることがあります。源泉徴収の計算は「ホステス報酬の源泉徴収の計算方法」、バックの決め方は「キャバクラのバック計算」で詳しく解説しています。スナックでも考え方は同じです。

スナックを開くのに必要な資格と手続きは?

スナックを開くには、保健所の飲食店営業の許可を受け、食品衛生責任者を置く必要があります。食品衛生責任者は、6時間程度の講習会を受ければなれる資格で、調理師などの資格がある人は講習なしでなれます。深夜にお酒を出して営業する場合や、営業の内容によっては、警察(公安委員会)への届出や許可が別に必要になります。

手続き・資格 窓口 内容
飲食店営業の許可 お店の所在地を管轄する保健所 施設の図面、食品衛生責任者の資格を証明するものなどを添えて申請する。東京都は、書類を工事完成予定日の10日くらい前に保健所へ出すよう案内している(23区・八王子市・町田市の保健所は様式などが都の案内と異なるため、事前に各保健所に問い合わせるよう案内している)
食品衛生責任者 講習会(東京都では東京都食品衛生協会) 6時間程度の養成講習会を受ける。調理師・製菓衛生師・栄養士などの資格がある人は講習なしでなれる
深夜にお酒を出す場合などの手続き 警察(公安委員会) 営業の時間と内容によって、届出や許可が必要になる。内容は営業する場所の警察署に確認する

警察の手続きで最初に確かめたいのは、その物件で深夜に営業できるかです。法律では、都道府県が条例で地域を定めて、深夜にお酒を出す飲食店の営業を禁止できるとされています。物件を契約する前に、営業する時間と内容を伝えて、営業する場所の警察署に確認しておきましょう。

手続きの内容は、地域や営業の形で変わります。この記事は一般的な説明です。最終的な判断は、保健所・警察署などの窓口や行政書士に確認してください。

毎日の締めで、何を見ればいい?

毎日の締めでは、売上・客数・客単価の3つと、現金・売掛・カードの内訳を確かめます。この記録を続けておくと、損益分岐点に届いているか、どの曜日が弱いか、売掛がたまっていないかが、月末を待たずに分かります。

閉店後に確かめたい項目を、順に並べます。

  1. 売上の合計:その日の会計を合計する
  2. 払い方の内訳:現金・売掛・カードに分ける
  3. 現金の照合:レジの現金が、現金の売上と合っているかを数える
  4. 客数と客単価:何人来て、1人いくら使ったかを出す
  5. 売掛の記録:新しく受けた売掛と、回収した売掛を記録する
  6. スタッフの記録:勤務時間、ドリンクの杯数、日払いで渡した額を記録する

この6つは、慣れれば短い時間で終わります。締めを担当する人が日によって替わる場合は、手順を紙に書いてレジの近くに貼っておくと、誰が締めても同じ記録が残ります。大事なのは、同じ形で毎日続けることです。月末にまとめて計算しようとすると、売掛や日払いの記録が合わなくなりやすく、どの日に何があったかも思い出せなくなります。

週に1度は、1週間の売上の合計を損益分岐点と比べてみてください。月の損益分岐点を営業日数で割った「1日あたりの目標」を決めておくと、その日の締めの時点で、目標に届いたかどうかがすぐに分かります。

紙・表計算・POSレジ、どれで管理する?

管理の道具は、お店の規模と、記録したい項目の数で選びます。会計と売上の記録だけなら紙や表計算でも回りますが、売掛・ボトルキープ・スタッフのバックまで同じ記録で扱いたいなら、夜のお店向けのPOSレジのほうが二度手間を減らせます。

お店の状態 向いている道具 理由
ママ一人・席数が少ない・売掛やボトルが少ない 紙のノート・表計算 費用がかからず、記録する項目も少ない
スタッフがいて、ドリンクバックがある 表計算か、夜のお店向けのPOSレジ バックの集計を自動にしたい
売掛・ボトルキープ・常連が多い 夜のお店向けのPOSレジ 会計と同じ記録で売掛やボトルを残せる
2店舗以上 夜のお店向けのPOSレジ 店ごとの数字をまとめて見たい

紙や表計算で始める場合も、この記事で挙げた項目(売上・客数・客単価・払い方の内訳・売掛・ボトル・スタッフの記録)を同じ形で毎日残すことが大切です。道具を変えるときに、それまでの記録をそのまま移せます。POSレジの選び方は「キャバクラのPOSレジの選び方」で詳しく解説しています。キャバクラ向けに書いていますが、選び方の考え方はスナックでも同じです。

ポッキリ.Nightの場合

株式会社KOKUの「ポッキリ.Night」は、スナックでもお使いいただける夜のお店向けの売上管理システムです。この記事で挙げた記録に関係するところを、事実だけ並べます。

項目 ポッキリ.Night
使える業態 キャバクラ、クラブ、ラウンジ、スナック、ガールズバー、バー
お金とお客様 売掛(ツケ)の記録と回収、レジ金・入出金、顧客の管理、ボトルキープ
売上と締め 日報、営業日の締め、売上の分析
スタッフ 出退勤の打刻、バックの計算、給与明細
料金 月額30,000円プランと月額50,000円プランの2つ(税別)
端末 月額30,000円プランは、端末(iPadとプリンタ)をお店でご用意いただくプラン。月額50,000円プランは、お店にない端末をそれぞれ1台ずつお貸しします

月額30,000円プランに含まれる機能とサポートの範囲は、お問い合わせの際にご案内します。業態でスナックを選ぶと、料金やバックの初期設定のたたき台が用意されます。

他のシステムからの乗り換えは初期費用0円、紙や表計算から新しく始める場合は初期費用50,000円(税別)です。料金の詳しい条件は料金をご覧ください。お店の今のやり方に合うかは、オンラインのご相談で実際の画面をお見せしながらご説明します。

まとめ

スナック経営で赤字を避けるには、次の順で数字を押さえることが大切です。

  1. 固定費を書き出し、「固定費 ÷ 粗利の割合」で損益分岐点の売上を出す
  2. ママに残したい額を足して目標の売上を決め、客単価で割って1日の客数に直す
  3. 利益と手元に残るお金の違い(税金・保険料・借入の元金の返済)を知っておく
  4. 売掛・カード決済・季節の波で、お金が入る日がずれることに備える
  5. 常連・ボトル・スタッフの記録を、毎日同じ形で残す

公庫の調査の7社の平均では、スナックは仕入れの割合が低い一方で、利益の余裕は小さい結果でした。「原価が安いから儲かる」ではなく、「固定費を売上に見合う大きさに抑え、毎日の数字を見る」ことが、続くお店の条件です。

出典

よくある質問

スナックは一人(ママだけ)でも経営できますか?

一人で営んでいるお店もあります。人件費がかからない分、損益分岐点は下がりますが、休むと売上が止まり、混む時間にお客様を待たせやすくなります。忙しい曜日だけスタッフを入れるなど、曜日ごとに人の配置を決めるのが現実的です。

ママが体調を崩したときに備えて、何をしておけばいいですか?

締めの手順と、売掛・ボトル・常連のお客様の記録を、ママ以外の人も分かる形で残しておくことです。代わりにお店を開けられる人を決め、休むときの常連のお客様への連絡の仕方も決めておくと、急な休みでも売上と信頼を落としにくくなります。

スナックの開業資金はいくら必要ですか?

物件の広さ、内装を作り直すか居抜きで使うか、カラオケなどの設備を買うか借りるかで大きく変わるため、一律の金額は言えません。内装・設備・保証金・当面の運転資金に分けて見積もりを取り、開業してから数か月分の家賃と給料を払える余裕を持っておくと安心です。

スナックは個人で始めるのと、会社にして始めるのと、どちらがいいですか?

個人で始めるお店もあれば、最初から会社にするお店もあります。税金・社会保険・手続きの手間・借入のしやすさが変わるため、見込みの売上と利益を持って、開業の前に税理士に相談して決めるのが確実です。

個人で営むスナックは、確定申告が必要ですか?

個人で営む場合は、毎年、事業の所得を確定申告で申告するのが基本です。帳簿の付け方や申告の方法は、売上の規模や青色申告をするかどうかで変わるため、開業の前に税理士に確認しておきましょう。

スナックでクレジットカード決済は入れたほうがいいですか?

カードで払いたいお客様を逃さずに済む一方、決済ごとに手数料がかかり、入金が後日になります。お客様の層と客単価を見て、手数料と入金のタイミングを確かめたうえで決めましょう。

この記事を書いた会社

株式会社KOKUは、夜のお店向けの売上管理システム「ポッキリ.Night」を開発・提供している会社です(法人番号 3020001167569・神奈川県横浜市)。